
秋の空気が冷たくなると、暖房やお湯の使用が一気に増えて、請求書を見る手が止まる——そんな季節です。物価もじわじわ上がるなか、年金生活の家計は「毎月の赤字」をどう受け止め、どう整えるかが大きなテーマ。この記事では、70歳代の貯蓄や支出の実態を“数字”でつかみ、わが家の老後資金に置き換えるための見方を整理します。
「苦しい」が過半数…私たちの実感はデータにも出ている
厚生労働省の2024年調査では、高齢者世帯の生活意識で「苦しい」と感じる人が合計55.8%でした。ニュースで聞くより、肌感覚に近い数字かもしれません。ポイントは、苦しさの理由が「収入が少ない」だけでなく、「支出が下がりきらない」ことにもある点です。
生活意識(高齢者世帯)の内訳
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
ここまで読んで、胸がきゅっとなる人もいるはずです。僕自身、家計の相談を受けるたびに思うのは、「苦しい=失敗」ではないということ。数字を味方にして現状を“見える化”できれば、やれることはちゃんと残っています。
貯蓄は「平均」だけ見ない。中央値とセットで考える
総務省の2024年「家計調査(貯蓄・負債編)」では、二人以上世帯の貯蓄現在高は、平均が1,984万円、中央値が1,189万円。平均は一部の高額層に引っぱられやすいので、現実に近い“体感”としては中央値も欠かせません。
貯蓄の目安(2024年・二人以上世帯)
| 指標 | 金額 |
|---|---|
| 平均貯蓄現在高 | 1,984万円 |
| 中央値 | 1,189万円 |
なお、70歳以上世帯の平均貯蓄現在高は2,441万円で、前年より2.5%減。年齢が上がるほど「貯める」より「取り崩す」局面に入るので、数字が減って見えるのも自然です。
毎月の家計は、なぜ黒字化しにくいのか
総務省の2024年「家計の概要」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は月25万2,818円、消費支出は月25万6,521円。差し引きは月4,000円弱の赤字でした。小さな赤字でも、1年で積み上がると地味に効いてきます…(ため息が出ますよね)。
「高齢になるほど支出は下がるが、収入も減るため、黒字化しにくい構造がみえる」
収入と支出の実態(65歳以上・夫婦のみ無職)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 実収入 | 25万2,818円 |
| 消費支出 | 25万6,521円 |
世帯主年齢別の消費支出は、65〜69歳が月30万7,741円、70〜74歳が27万5,420円、75歳以上が25万2,506円。年齢とともに支出は落ちますが、収入も同時に落ちるため、「支出を削れば即黒字」とは言い切れないのが現実です。
年金月額の「目安」を知り、家計に当てはめる
厚生労働省の令和5年度末時点データでは、老齢年金の平均月額は厚生年金が14万6,429円、国民年金が5万7,584円。さらに年齢別では、70歳の平均は厚生年金14万4,773円・国民年金5万8,956円、75歳は厚生年金14万7,455円・国民年金5万7,973円でした。
大事なのは、年金の数字を「世間の平均」として眺めるだけで終わらせないこと。わが家の固定費、季節で跳ねる光熱費、そして取り崩しのペースを並べてみると、家計管理の“つまずきどころ”が見えてきます。老後資金は、気合より設計で守れます。
FAQ
- 平均貯蓄額と中央値、どちらを基準にすべき?
感覚に近いのは中央値、家計の上振れ・下振れまで含めて把握するなら平均も参考になります。まずは両方を見て「自分はどの位置か」を確認するのが確実です。 - 毎月の赤字が数千円でも問題になりますか?
小さく見えても、年単位では積み上がります。季節要因(光熱費など)も含めて、年間収支で見直すと判断しやすくなります。 - 年金月額の平均は、単身世帯にも当てはまりますか?
あくまで平均なので、加入期間や働き方で大きく変わります。世帯構成(単身・夫婦)や住居費の有無で必要額も変わるため、自分の家計に置き換えて確認するのが前提です。

















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